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「想うものの欠片」第八話 ⑱

18
タースは思い出していた。
あの時、皇帝は…僕が運んだ、クッキーで…
あれは、あの時。

ジファルが僕の口もとを拭こうとして止めた、あの時…。
そうだ。僕はグラタンを食べてない。一口も。
口の周りにソースがつくなんて、ありえない…。

「あんた、が?」
機械音に飲まれそうになるタースの声に、ジファルは壮絶な笑みを浮かべた。
「!そうか!あの時、機関室に細工したのもあんただ!僕を捕まえた時、どうして機関室に入ってきたんだ?!細工したのに停まらないから、だから様子を見に来たんだろ!」
「ふ、その通り。もう一日、この船には空に留まって欲しくてね」
「なんでだよ!あんた、陛下の親衛隊だって!」
がん、と殴られた。
背中を派手にぶつけて、タースはその場に座り込んだ。
「っつ…」
「この船の到着が遅れれば、ティエンザの軍艇が先にレスカリアに到着する。そうすれば、我らのクーデターは成功するのだ。我ら【逆月】のな。だが、お前のために失敗に終わった。光栄に想え。お前は【逆月】として死ぬんだ」
冷たい銃口がこめかみに当てられた。
「ティエンザと、共謀している、のか?」
「ああ、あの国の進んだ科学、豊かな食糧。レスカリアを新しい世界に変えるのだ!」

ふわりと、何かがよぎった。
それは白いもやもやしたもので、タースの足元から湧き上がると意思を持った風のようにくるりとタースの周りを回ってジファルの目の前に広がった。
「!?」
見えるのか、ジファルが一瞬たじろぐ。
タースはその瞬間を見逃さなかった。
『逃げて』
ユルギアの囁きと同時にジファルの銃を持つ手首をつかみ、ひねる。
バランスを崩した女の腹に、思い切り蹴りを放った。

「んぐ!」とうなると、ジファルは膝をついた。
タースはすばやく立ち上がると、奪った銃でジファルの頭を殴った。

冷たい鉄板に意識を失って伏せるジファルを見下ろして、タースは荒い息で肩を震わせていた。
(この人が、陛下を殺そうとしたんだ。陛下、大丈夫なのかな)
鉤を外し、機関室への扉を開いた。
目の前にいたウィスロが飛び込んできた。
「タース!お前、何をした!」
「ウィスロ、僕は何も!」
ジファルを助け起こそうとするウィスロから数歩後ろに離れる。
大きな男はぎろりと少年をにらみつけた。
「お前、俺をだましたのか!」
「違うよ!」
「俺がお人好しなのをいいことに!利用したんだな!」

タースは首を横に振りながら、もう一歩下がった。
カタリと、腰に扉の赤い取っ手が当たる。
「俺は人を利用するような奴が許せないんだ!」

逃げられない。

「違うよ!僕じゃない!ジファルが」
言いかけて気付いた。
ウィスロは、ジファルを抱きかかえていた。
とても、大切なものを護るように。
「ふざけるな!」
ウィスロが落ちていた銃を手に取る。
銃口が向けられた。

逃げられない。
そっと、足元にあるパラシュートを確認する。

つかむと同時にタースは背後の扉を開いた。
外への扉。
重いハンドルを一気に回す。
「待て!タース!!」
扉は勢いよく開いた。吹き飛んだのではないかと思う派手な音と、同時にタースも体が持って行かれる。
一気に冷たい風が巻きつき、視界は真っ白。
ものすごい風圧に、吹き流されていく。

ぐわんっ。

と。耳鳴りにうっすら目を開いた。
一面の蒼。
首をひねって背後を見ると、飛行船の姿が小さく見えた。ぐんぐん、離れていく。

いや、自分が。
落ちている。

タースは、パラシュートを束ねていた紐を、解いた。
ぶわんと一気に広がった。持っている手にものすごい加重がかかる。
「く…」
顔に受けていた風圧が弱まり、落下が遅くなったのを感じていた。
息がしやすくなる。
下には、港。船。海。
不意に蒼い海面に真っ白な何かが沸き立った。
どん、と大地が震えた。
何?
水柱が立ったと思うと、次の瞬間真っ白な蒸気の雲がものすごい勢いで大気に広がった。
あおられてタースはタンポポの綿毛のように流される。

海から、水蒸気?
ぐるぐると回る視界。意識が遠ざかる。

僕は、どうして。こんなことになってるんだ?


冷たい空気につんと頭の奥が白くなる。
何かがそばにいた。

『陛下、陛下…』
それは儚いユルギアの想い。
タースの脳裏に、ジファルの顔が浮かんだ。
ジファルが銃を構えている。
笑っている。
逃げる、僕は逃げた。けれど、追い詰められ。
突き落とされた。

陛下が、心配で。
心配で。

自分の意識なのか、ユルギアの想いなのか。
混乱する意識の中、タースは穏やかに笑う少年を見た気がした。

ユナ…。

陛下を、助けたかったんだ。
なのにジファルに落とされた…。
皇帝陛下…。

タースの想いとユナの想いが重なる。

僕を混血と知っても、変わらずに可愛がってくれた。
同じ痛みを抱えた人だ。

許さない。
うん、僕はもう、誰も死なせちゃいけないんだ。

だから、助けなきゃ。
陛下を。


第八話 了

続きに第八話あとがき的なもの…

第九話へ(3/7公開予定~♪)
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ここまで読んでくださってありがとうございます♪

世界の歴史をじわじわと紐解いてきました。分かりにくい!と思われた方…ゴメンナサイ~。
また、同じことを語るときが来ます。
そう、まだシーガは知りません。
シデイラの迫害の理由も、古代文明の謎も。

タースくん、どうなったのか…。
シーガさまは?

動き出す世界。
黒尽くめのあの人も出てきます♪
第九話『海』は3/7公開です♪
その間にちょこちょこと日記とかイラストとか短編とかありますので。

また遊びに来てくださいね~♪
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ユミさん♪

おお~ここまで。いらっしゃいませ!
いいんですよ。
それぞれマイペースで読めるように、まとめて更新なのですから♪
らんららもマイペースで執筆させてもらっています~!

ジファル、ウィスロ…二人はまた再会の予定です。
が。

ひとまず、もう一人の主人公へとバトンタッチなのです♪
あさってだ!
もう一度見直してこようかな…。

今回はながーくかかってしまいましたが、良かった!!次の更新に
間に合った~(←自己満足ですみません><)
ジファルさん、いや別に嫌な人だけど、悪い人だとは思っていなかった
んですよ、わたし。それなのに、タースくんに罪を被せるなんて!!
せめて、「わたしが毒を盛った」くらいのこと正直に言え~!と思って
しまいました。
タースくん、結局はウィスロさんにも誤解されたままなんですね。これから
もっと試練が待っていそう。
でも、最後には、正義が勝つ!正直者は損をしない!と思っているので、
タースくん、最後まで頑張って♪

kazuさん♪

あ、やっぱり?
あはは、どうしようかと思ったけど。いいんです。いずれ読んでくださればってお思っていました♪

kazuさんはそこが可愛いんだから♪好きです!

はい、7日。時間をたくさんいただいて、次回作をそろそろ始めなくちゃという気分ですが…まだ踏み出せていない(笑

がんばります!

史間さん♪

落ちました!(ってこの時期、ある年齢の方には痛い言葉?
ユナくん。ええ、一人で戦っていました。

彼も、ジファルも。そしてもちろん、皇帝陛下も。
さまざまな最後を締めくくる方たちです。ええ。
ご期待ください~!!

間違えました!
次は7日ですね?!
7日!!

なんだかこう・・・自分の抜けてる度に、最近哀しくなってきました・・・@@:

落ちた!

落ちた予感はしていましたが、ユナ!!!(号泣)
陛下の周囲を注意深く観察していれば、他にも気づいた人がいたかもしれない。
ユナが独りで戦っていたことを思うと、胸が締め付けられます><

陛下とシーガが会える様に、その結末が絶望でないように。
祈りながら次話を待っています!
タガ&カガの活躍も期待していますよー♪

kazuさん♪

わ~い、いらっしゃいませ♪(←なんの癖だろう?)
一話一気読みが流行っているのかもしれない。

タース君、いろいろな人と出会いました。
何かを得て、何かを与えて。

さて、お次はもちろん、シーガさまです♪
残すは後三話、ですよ♪
大丈夫、そんなに泣かせませんよ~。らんらら、冷酷非道じゃありませんし♪(目をそらす…

さ、また。パスタを作りますよ!

ああぁぁ

どうしても一気読みしたくて、どうしても第9話との間を空けたくなくて、でも2月には読みたくて。
今日まで待ちました・・・待ちました・・・・

皇帝陛下・・・、皇妃さま・・・
タース君を混血と知っても、見る目の変わらない方々。
タース君に、知識と安らぎをくれた皇帝陛下。
なのに・・・なのに!!
ジファル・・・くそぅ・・・

ユナくん。
ユナ君は、やっぱりジファルに追い詰められ飛行艇から落ちてしまったんですね。
皇帝陛下を助けたかった。救いたかった。
その想いがユルギアになって、タース君に受け継がれる。。。
ユナくんの想いの欠片が、タースくんに・・・

らんららさん、ホント凄いです^^
もう、最後のあたりで既に涙浮かべてしまいました
だめだ・・・、最終話を読むときは最初から涙流してしまいそうです。

あぁ、次は9日!
9日間、読み返しながら待つのです!!

非村さん♪

了解です♪
楽しみにしています♪

大丈夫です。

 あ、かまいませんよ!
 企画自体始めてなので、よく運営を練ってから始めたいと思います。

非村さんへ

青春…いやぁ~随分昔の…って。
うむ~。上手くできるかな。
フィクションでもいいんですよね?
ノンフィクはかけません。
はい。
そういう性格なのです~。

 今すぐ始動する、というわけではないんですけど、一応テーマは「ああ我が青春」です。もう、世間では青春の絶頂期っぽい扱いの高校生も終わってしまいますしね。高校とは限らず、自分の青春を小説またはエッセイ調で書いてもらいます。
 もう少し後のほうになるかもしれませんが、三月中には始動したいのでよろしくお願いします。

非村さん♪

納得のようで♪よかったです~。
企画、どんなものでしょう?
内容によりますが~(笑
今、コミュニティのリレー小説に足を突っ込んでいますから、そうですね、テーマを決めた短編物などなら、参加できそうですが…。
どういった企画なのか、内容を確認してからということで♪
また遊びに行きますね♪

 助かりました。ていうより、なるほどといった感じです。
 ことの仔細がよくわからないのですが、僕も応援していこうと思ったところです。
 それはそうと、らんららさんは最近お仕事の方はどうでしょうか。もし、時間に余裕ができそうならば、そして了解してもらえるなら、企画なんかをやってみたいと思ったのですが、いかがでしょうか。
 今すぐに、という訳ではございませんので、お考えになってみてくれませんでしょうか。あれ日本語おかしい。

非村さん♪

いえいえ。お役に立てたカナ。

うみ?

海空 真・・・ですか? 探してみます。どうも~失礼しましたぁ!

非村さんへ♪

大丈夫、戻ってくるよ~。
いろいろとあったみたいだけれど。「海空 真」さんのところに行ってみてください♪

 ちょ。
 他人様のブログを持ち出すのもなんですが、chachaさんのブログ閉鎖しちゃったんですかっ? パスワードなしに閲覧不可って表示されたんですけどっ。

緋村さん

まあ、それが実態(笑)ってことで。
らんららはオトナですもん、平気です~♪

 楽しみにしておいてくださぁいw
 たまに下々のネタがご登場することもございますが、ご勘弁してください。

わははは~(≧▽≦)ゞ

緋村さん
ありゃ、高校受験かと…(笑)
大学生~いいなぁo(^-^)oワクワクだね!
大学生活の日記、楽しみかも~♪

ごめんなさい!

 ちがいます。サバ読んでたのですから、下のほうに読んでたんです! たしかに、最近は中学生にも大人びた子が多いですよね。
 一瞬僕の扱いが別なものに確定するかと冷や冷やしました(笑)。
 もうそろそろで大学生です。すいません、イメージぶっ壊してしまって(笑)。最初は面白半分に誤魔化してたんですけど、だんだんプロフ書き換えるのメンドくさくなってしまいまして……。
 でも、まだまだ花のティーンエイジャーです! 

非村さん♪

って、15歳ですか!?
いや~すっかり、もっと年上だとばかり。
いやあね(笑)らんららの姉の子供と同じです~。彼女もやっと受験が終わったようです♪
ほんと、最近の十代は侮れないんだから。
また遊びに行きます♪
よろしくね~♪

お久しぶりですっ

お久しぶりですっらんららさんっ。
 実は年サバ読んでた緋村です!
 受験が終わり、ようやっとブログが再開できます。
 またよろしくお願いしますね。
 あ、ちなみに宣伝。受験時のある夜の出来事を小説風に載せてみました。

chachaさん!

はやっ!(笑)
ありがとうです!!
そうですね~、一気読みだとまとめての感想になりますよね♪でもそういうのも嬉しいんです♪
途中での、「あれこれはどうなの?」とか「ひとまず安心ですね~」とか。そういう迷える読者の(笑)感想も楽しいんですが♪
このシーガパパとの出会いは、とっても大切なのです♪タース君にとってね!
うふふ~。
タース君に救いの手…いずれ。ね。(ちゃんとハッピーエンド目指してますから♪)
次回は、シーガさま。
そして。スレイドさん。
ああ、スレイドさん、ここまで書きたくキャラに育っちゃうとは!
楽しみにしていて下さいね!

えへへ~^^

ちょっと遅れましたが@@;(週明けに読みきってたのに~)
一気読み、いつものごとく堪能させていただきました☆ぷはっ!満足~♪^^
やっぱりらんららさんの小説、読んでいないと調子が狂うというか(笑)
でも、一気読みって途中、途中で起こった出来事とか感じたことに対してのコメントが書きにくいので、それもちょっと残念なところかもしれませんね~><
うーん…わかってはいるんですが…止まらないんですよぅ!(笑)

タース、本当に純粋な心を持った子だなぁというのが、今回の話で一番強く、改めて感じた印象^^
周りも何故か、タースにつられて笑顔になって☆うんうん、いいぞぉ!微笑ましいぞぉ!
って、思っていたのに!いたのに!><

ジファル~~~~~!!><
おまぃは!おまぃは~~~~!!タースをはめやがって!!><(怒)
せっかく仲良くなったと思ったウィスロさんとかタガ、カガ。ミレニアさん。(は、仲良くはなってないのかな?笑)
そして!皇帝陛下!だだだ、大丈夫なんでしょうか!!?@@;いや、でもきっと大丈夫だ!だって皇帝陛下って…あれ、ですもんね?シーガパパ、なんですよね?神王なんですよね??><

なんだか色々と謎が紐解けてきて!しかもかなり、かなりに私の心を揺さぶるファンタジーで!
もぉ近頃は読んでてもすぐに読み終えて、早く続きが読みたい~ってなっちゃいますよ~^^
はぁ~面白い!読んでて臨場感たっぷりだし!どきどきしっぱなしだし!

でも、らんららさんに一つだけ…
タースに救いの手を~!(笑)
シーガくんとミキーちゃん、楽しみにしてますよん♪
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