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「想うものの欠片」第九話 ⑩

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ゆらり、と船の軋む音にシーガは目を覚ました。
翡翠の瞳が目の前の少女を認めると、少女はにっこりと微笑む。
「どきなさい。どうして私の上に乗っているんです」
「トクトクして温かいです」
ミキーは体を預けていた青年の上からふわりと降り立つと、部屋の丸い小さな窓のカーテンを開けた。
すでに日は高い。
「いいお天気ですの。なんだか温かいです」
「レスカリアは南に位置しています。ライトールよりずっと温かいんでしょう」
ぐらり。
また、少し違う揺れを感じた。
誰かが船室の前を走りぬけた。
「何でしょう」
いくらなんでも、まだ、到着には早いだろう。
かすかに甲板での大声のやり取りが聞こえる。
「シーガさん、揺れますよ、大波だ!手すりに掴まってください!」
ドアの外、声しか聞こえないがマルリエだろう。
「マルリエさん」
ミキーが、ドアを開けようと近づきかけた。

ぐおん、と。
一気に床が傾く。
「きゃ」
扉に伸ばしたては届かず、ミキーはそのまま反対側へと落ちてくる。
シーガはベッドに付けられた手すりをつかんで、ミキーを背後から抱きとめた。
と思うと、次の瞬間には逆に扉側が下になる。
「くっ」
ベッドの脇に置いてあった大きなトランクは派手な音を立てて扉にぶち当たった。次の揺り返しでこちらに転がってくる、シーガは揺れる勢いのまま、ベッドに乗りトランクの攻撃を避けた。
次には、トランクは扉まで届かず、ずるりと部屋の中ほどで止まった。
まだ少し揺れているものの、先ほどのような大きな揺れは来ないようだ。

「シーガ、さま」
「ええ、大丈夫です。何があったんでしょう」

船内を貫く廊下。今は誰もいない。ランプが揺れのために壁に新たな傷を作っていた。生々しい白い木肌。幸い炎は灯されていなかったのだろう、こぼれた油も割れた破片も燃えた様子はなかった。
甲板に一番近いマルリエの医務室をのぞく。中で青年は倒れていた。
「マルリエ!」
シーガが助け起こすと小さくうなって頭を振る。
「あ、ああ、無事ですかシーガさん」
「ええ、あなたは」
「大丈夫です、あいた」
頭を押さえこぶでも発見したのか顔をしかめる。
「冷やさなくていいですか?」
シーガが言うのと同時にすでにミキーが濡らしたタオルを準備していた。
「ありがとう、ミキー。君は不思議だね、薬の知識や応急処置の訓練を受けたのかい?」
「シーガさまにお仕えするようになって、教会で教えられたですの。ファドナさまが、そうしないと一緒にいちゃだめって言うから」
ふとマルリエは淋しげに笑った。
「君はシーガのことが好きなんだね」
少女は満面の笑みで頷く。
「マルリエ、そんなことより。何があったんです?」
無理矢理話の方向を変え、シーガは横倒しになっていた椅子を元の位置に戻した。
「あ、そうです。レスカリアの方角ですね、原因は分かりません。僕は潮を読むことは出来ませんが船長が引き波に気付いて、津波が来るって叫んだんです。船乗りたちはさすがですね、すぐに準備に行ってしまって。私はとにかく、あなた方に知らせようと思ったんです」
「甲板に、出てみましょう」
「ええ」


甲板は、波に洗われ水浸しになっていた。
それでも、すでにこれといった混乱はなさそうで、男たちはと見ると船首に集って遠くを眺めている。
透き通る青空が不思議なほど穏やかだ。日差しは強く、シーガは手で日陰を作った。
「何を見ているんです」
ポンスが三人に気付いて手招きした。
「ほら、分かるかい?まだ距離はある、レスカリアの方角だが、白い煙みたいなのが上がってるだろう」
ポンスが肩にまわす手が気になりつつも、シーガは示された方角を見つめる。
「燃えてるですの?」
「なんでしょう、あれは」
「さあなぁ、レスカリアで大火事でもあったか、いや、あの波、海で何かあったな」
「船長!」
誰かが海面を指差す。

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