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片翼のブランカ 11

<<今、どうして自分がそこにいるのか。そうしているのか。理由を言うことより、きっと、それに満足していることのほうが難しい。…ココちゃんの冒険第11話です!>>

「ココちゃん」
ココはうっすら目を開けた。聞きなれない声。
目の前に、なんだか白いまあるいものが、笑っている。
ちょっと、強い、お花の香りがする。
「ココちゃん」
変な、男の人の声。ココは顔をしかめた。
「シェイン・・」
「おう、起きたか」
その声を聞いて、ココは飛び起きた。
「シェイン!」
横に立つ鉄色の髪の男に抱きつく。
「なんだ、元気じゃねえか」
「可愛いのう」
白い丸いふっくらした顔の守人が、ニコニコした。多分。小さい細い目と、小さい鼻と、小さい口で、あまり表情が分からない。
白っぽい茶色い髪をくりくりさせて、一つに縛っている。
その丸い手が、ココの頭をなでた。
「初めて本物を見ますよ。いや、これがブランカ」
「ああ。上層で拾ってな」
「どこも痛くないかな?ココちゃん」
甘えたような口調が、ちょっと気持ち悪く感じる。
「あのね、ココね、ここがいたいの」
「おう、そうかそうか。肩を打ったのだな。どれ、どれ」
ココの服を脱がそうとする。
「いやん」
「おい、いじめるなよ」
「可愛いのう」
ココはなんだか、どきどきして、怖くなって、シェインにしがみついた。白い丸い守人は、なんだか気持ち悪い。いやいや。
「ほら、肩見せろって」
「い、やん!」
シェインまで同じことする!ぺしぺしとシェインをたたいた。
「大丈夫そうだな」
「そのようで」
ばたばたしているブランカを、軽々抱き上げて、シェインは、室内を横切って、窓辺に連れて行った。
「ココ。見てみろ。きれいだ」
「?」
窓から見える白い街の風景と、その先の青い海を見詰めて、ココは落ち着いた。
「島の領主の館だ」
「デデムと申します」
恭しくお辞儀をするまあるい白い守人に、ちらりとココは視線を向ける。シェインの肩越しからだと、下に見える。
「ほら、礼を言え、ココ。お前が大げさに泣くから、休ませてくれたんだぞ」
「れい?」
「ありがとうのことだ」
ココはにっこりした。それなら知ってる。
「ありがとう!」
「いえいえ、守人として、ブランカを守るのは当然です」
「お腹すいた!」
シェインが笑った。
「お前、覚えると何でも好きなこと言い出すな」
「お腹、すいた、すいた、すいた!」
「どうぞ、ご用意させますので」
「デデム、甘やかすな」
シェインの言葉に、領主は目を丸くした。
「シェイン様、ブランカなんです、神聖な、大切な。甘えるとかそういう存在ではないのでは?」
「ばか、こいつは出来損ないだ。それに、とても、ブランカとは思えんね。人間くさいだろ?」
「私めには、やはり特別に見えますが」
「まあ、いい。俺も腹が減った」
「はい。どうぞ」
にこにこして、デデムはうなずいた。
「仕事の話は、後にしろよ」
その丸い背に、シェインがつぶやくと、領主は振り向いた。
「ありがとうございます」
恭しい態度の下で、小さい目は抜け目なく笑っていた。



「やけにご機嫌ね、ココ」
カータが出迎える。
黒々した岩山の隠れ家は、薄暗い夕闇に包まれ始めていた。
どどどと、響く波の音にも、今のココは平気だった。
だって、たくさんたくさん、素敵なものもらっちゃった。
うれしくてうれしくて、ココはカータに飛びついて、ぎゅっとする。
「お帰り」
ココのパタパタする羽の向こうにシェインの少し疲れた顔を見て、カータは微笑んだ。
「どうしたの」
「ああ、デデムに捕まってよ。ココは、すっかり猫っ可愛がりされて、舞い上がってる」
「それでね」
もらったいろいろなものの包みをカータに見てもらおうと、ココはさっきから、しきりにカータの髪を引っ張っていた。
「はいはい。分かったから」
カータはココを下ろす。
「本当に、守人の子供と変らないわね」
「お前も、ココのお母さんみたいだぜ」
「失礼なこというんじゃないわよ、私まだ子供作ったことないんだからね」
「あってたまるか」
ぼそりと、シェインがつぶやく。
「何か言った?」
「いや。別に」
相変わらず、綺麗な顔して派手な勢いの女に、シェインは笑う。
厄介な頼まれごとも、何とかなるか、と、胸にしまいこんだ。

ココは、もらった綺麗な色のガラスの玉をいくつも並べて、遊んでいる。
甘いものも、ぱりぱりしたお菓子も、たくさん食べて、すっかりお腹もいっぱいだ。
「クリスタルの偽物?」
「ああ、露店でだましに使うやつらしい」
「そっくりね。よく出来てる」
くすくすシェインが笑う。
買出しに行ったおかげで、その日の食事は、少し豪勢だ。
いつものパンとハム。新鮮な野菜と、ジュース、シェインは白い葡萄の酒を飲む。
「お前が、いつか、だまされて買ったやつと同じだ」
「そ、それは。なによ、まだ覚えてたの!?」
「あの時のお前の顔。ココにも見せてやりたいぜ」
「お宝だと思ったの!もう、シェインが喜ぶと思って、なによ、もう、笑わないでよ!!」
肩を震わせて笑う男に、カータは顔を真っ赤にして怒る。
「ばーか。大体、クリスタルほしいなんて、おかしいだろ、使えもしないくせに」
「言いすぎよ」
「ほんとのことさ」
少しほろ酔いのシェインは、カータが本気でむっとしていることに気付かない。
「自分が力があるからって、自慢しすぎよ。嫌な奴」
ぷいとそっぽを向いて、シェインの隣から、ココのそばへ、飲みかけのジュースを持ったまま移動する。
「なんだよ。…」
不機嫌に眉を寄せると、シェインはテーブルに肘をついた。
「ちぇっ」
その、黒い瞳がココと楽しげに話すカータを見つめていた。
カータは、下層の生まれ。
その美しい姿と、威勢のいい性格が面白い。そう思って、そばにいる。
カータが、どう思っているかは知らない。
年に一度の洗礼祭のときに、たまたま、出会った。
もう、何年前になるのか。
まだ、俺も幼いところがあった。丁度、神官として朱席をもらった頃か。十七、くらいだったか。
神殿を抜け出し、追っ手を振り切って、今こうしていられることが、たまに不思議になる。
「…いや、俺は自由になったんだ」
官位を剥奪され、神殿への出入りを禁じられ。それでも、自由が欲しかった。
そばに、いたかった。

「シェイン、泣いてる」
顔を上げると、ココが自分の飲み物を抱えて、覗き込んでいた。
「ばかか」
「ココ、バカじゃない。ブランカだもん」
ぷんと口を尖らせる。また、それが、かわいらしい。
「お、教えてもらったのか、やけに反抗的だな」
向こうでカータが、顔をしかめて見せる。
「せっかくの美人が、台無しだぞ、本当に」
そう、小さく言って、優しく笑う。
残った葡萄の酒を、一気にあおって、シェインは立ち上がった。

「もう寝る。明日、出かけてくる。お前ら、好きにしてろ」
「まあた、女買いに行くの?」
むっとして怒るカータの頭を軽くぽんぽんとたたいて、シェインは笑った。
「欲しけりゃお前も買ったらどうだ」
「私が女買ってどうすんのよ、ばか!」
「…おやすみ」
シェインは、一人、寝室に入っていった。



翌朝、目が覚めたときには、シェインはいなかった。
ココはしきりに、カータに尋ねる。
「シェイン、どこ?」
「おでかけよ。遊びにいくのよ。昨日みたいに買い出しに行った次の日にね。きっと、買出しのついでに何かいい話でも拾ってくるのよ」
カータは、風牙の毛並みをブラシで整えてあげながら、ちょっと不機嫌に言った。
長いクリーム色の髪を、ぎゅっと、頭の上で縛って、いつもとちょっと違う。
「カータも、どこか行くの?」
「ええ、私だってね、いつもこんなとこに一人じゃ、つまらないのよ」
「ココ、いるよ」
「そうね。ココも、行く?」
「どこに?ねえ、どこ?」
「・・シェインには、だめだって言われているんだけどね。中層の、リアノスよ。大きな町なの。
可愛い服とか、綺麗な宝石とか売ってるの。下層民でも、売ってくれるとこがあるのよ。
お金はないけど、ほら、いろいろ売れば、ね。特に、ココ。クリスタルなんかは、いい値段なのよ」

カータは、ココの大切なガラス球が、たくさん入った器を見つめて、いたずらっぽく微笑んだ。
「本当に、よく出来てる。私だって、ね、そういう使い方ならできるんだから」
力の弱い下層民では、クリスタルを変異させることが出来ない。
出来なければ、それはただのガラス球と同じ。カータはココのガラス球のうち、いくつかを手に取った。

 「片翼のブランカ」続きはこちら
http://ranrara.blog70.fc2.com/blog-entry-74.html


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