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佐々君のキモチ =後編=

<<『佐々くんのキモチ』後編です!前編は、二個下の記事をご覧下さい>>

仲石のことだ、自慢げにメールでも送ってくるだろう。
そう思うと、俺は余計にいらいらして、弟に八つ当たりしてやった。
母さんが「熱でもあるの?」って、人の顔が赤いのをじろじろ見るから、俺はさっさと寝ることにした。でも、寝付けなかった。

携帯に、目が行く。

けど、俺、仲石が祐木のこと好きだったなんて、全然気付かなかった。俺が先輩にからかわれて、わざとボールそっちに転がされてたときだって、仲石は黙って見てたよな。

むかついてなかったのかな。俺ならいやだな。
あいつも、それで、いらいらして、俺に「早く告れ」って言ってたのかな。
そうかもな。
あいつ、あんまり感情的になる奴じゃないし、要領よくて頭もいいけど。
俺に毒はいてたのも、嫌がるの知っててしつこく告れって繰り返したのも、それでかもしれない。最近、なんか態度変だったもんな。
俺、全然知らなかったからな、なんか、悪いことしたかな。

俺は眠れずに、寝返りを打った。
携帯がなる夢を見て、何度も夜中に目が覚めた。
最悪だ。


そんなんで、俺は翌朝、寝坊した。
ああ、もういいや。朝練さぼり。
部活で腕立て100だろうと、外周10周だろうと。いいんだ。
今日もじりじり暑い。
重いまぶたを、無理やりぱちぱちしてみる。

いつもと違う顔ぶれのやつらが登校して行く。
こんなに俺の学校、生徒多かったか?
「珍しいな、佐々」
クラスの奴が横で自転車を止めた。
「おー」
「お前、風邪でも引いたのか?顔変だ」
「うるせー」
少し目がはれてるの、ばれてる。最悪。
そいつは笑いながら、自転車を走らせて行ってしまった。
もうすぐ校門ってとこ。
丁度、昨日、仲石が声かけてきたあたり。
なんか、帰りたくなってきた。

「おはよ。珍しいね、佐々」
俺は顔が赤くなるのを恐れて、片手で口を覆った。
心臓がまた、暴れる。
「なに?」
「え、別に」
祐木も、何だか、元気がないようだった。
そういえば、女子バスケも朝練あんじゃねえのかな。

おかしいな。
仲石、あいつもてるし、器用だからな。
てっきり、上手くいったんじゃないかと思ってた。違うのか?
俺はなんとなく一緒に歩いてる祐木を見る。
「あのさ」
二人、言い出したのが同時だった。
「なに?」
「お前こそ、なんだよ」
また沈黙。

「昨日の、話って、何?」
う、今更それはきついよなぁ。頭の中、真っ白になった。
こんなとこで言えるわけない。
俺は普通の顔を決め込んで、でも、視線を合わせられなくて、言った。
「…別になんでもねえ。もう、忘れた」
ちぇ、なんか、あんまやさしく話せない。俺、人間できてないな。
祐木は、少し首をかしげて俺を見ているみたいだ。俺は相変わらず、前を見たまま、平然を顔に貼り付ける。
気まずい。

「じゃあ、いいや。仲石に言っといて。分かったから、いいよって」
「はあ?」
じゃあ、ってどういう意味だよ。

「はあじゃないよ、佐々」
祐木はニコニコ笑った。
急に元気になったみたいな。あれ?なんだ?
「あたし、あいつと付き合うことにしたの」
「…」
俺は、胃とか心臓とか、脳みそとか、全部止まった気がした。
祐木は、立ち止まった俺を、振り向きもせずに、行ってしまった。
後姿の髪が、綺麗に揺れてた。


昼休み、俺は教室で昼寝していた。タオル顔にかけて。
いつもどおりだ。
いつもどおりだと周りも思っている。たぶん。
けど、俺はぜんぜん、眠れてなかった。
あれだけ寝不足でまぶた重かったのに、英語も数学も、全然眠れない。
二つ前の祐木の後姿を見るたびに、朝の言葉が思い出されて。

一番後ろの席の俺は椅子を目いっぱい後ろに倒して、誰のロッカーだか知らないけどそれを支えにして机に足を伸ばす。
「佐々、じゃま!」
女子の声も無視。
そう、いつものことだ。
眠れない以外は。

「佐々!」
急にタオルを取り上げられて、俺は落ちそうになった。
「んだよ、仲石」
こいつは何で隣のクラスなのに、気付けばいつもここにいるんだ。

あ、そうか祐木がいるからな。
また、気分が落ちた。
もう、落ちるとこまでってやつだ。
は、そういえば俺、祐木に伝言頼まれたぞ、何だっけ。
ああ、朝のことなんか、思い出したくもない。

「寝ぼけんなよ。お前、祐木に言ったのか?」
「何をだよ」
「ま、いいか。それよりさ、ちょっとつきあえよ」

俺は、何だかむっとしたまま、仲石に引っ張られて、コンビニにいた。
仲石に、素直におめでとうと言えないでいた。
やな、奴だな俺。

店の外に座り込んで、昼飯が少なかったとか何とか言いながら、仲石はパンをかじっている。
俺はコーラ飲みながら、あくびをした。
誰から見ても、俺はきっと、いつもどおりだ。
けど、中身は寝不足だ。キモチも最高に落ちてる。
足元に落ちてる煙草の吸殻にすら腹が立った。
俺が吸ったみたいに見えるじゃないか。
仲石は、パンにむせて、ジュースを飲んでる。
どうせ引導渡すなら、さっさと言ってくれ。そうすれば、俺だって、「よかったな」の一言くらいはひねり出せる。

「俺、祐木やめる」
そう言ったのは、仲石だった。
「!?おい、なんで」
混乱した。
「あいつ、ひでえよ。お前の気持ち確認してからにするってんだぜ。ふざけんなっての」
「・・俺の?」
あ、俺、祐木に伝言頼まれてたぞ。

「だから、もうお前に聞いたのかと思った」
「あ、そうか」
心臓がぱくついていた。

朝の、あれがそうだったんだ。
多分。
けど、俺に、「じゃあいいよ」って。「分かったから、いいよ。って伝えて」って。そういう意味か?
佐々が言わないんならいいよ、佐々の気持ち分かったから、もういいよ、仲石にするよってことだ。
それを、俺から仲石に言えって?

痛いよな、なんか。
あいつが、何考えてたのか、わかんないけど。

俺はちらりと仲石の横顔を見た。
実はジャニーズ系で、面白いし、女子にもてる。
俺は知ってる。
でも、今は、なんだか。
ちょっと、傷ついてる感じ。

今更、俺が伝言したって、なんになるんだ。
仲石が、いやな思いするだけじゃないか。
目が合った。
「哀れんでんのか?」
「…俺、俺もいいや」

「は?何言ってんだよ。お前、選ばれたんだぜ?」
「…なんか、違う気がする」
俺は、結局振られたんじゃないのか。あの朝の、ほんの数分の間に。
そういうことだ。

仲石が、一番ちゃんと気持ち言ったんじゃないか。
一番勇気あったんだ。
なのに、祐木は俺が駄目だったらみたいなこといって、しかも、それを、俺から言わせようとしたんだ。祐木が俺に気があったとしたってさ。ずるいよ。
俺も、結局、はっきりしてねえし。同類だけど。
なんだか。
俺は仲石を見た。
目が合った。
「…違うってなんだよ。佐々」
俺はまた、足元の吸殻を見る。
「俺もやめる。なんか違うんだ」
「おい、佐々」

いつもいつも、仲石と俺は比べられるけど、こいつは要領いいって言われているけど。
一番自分の気持ちに素直なんだ。
がんばってるんだよな。部活だってさ。レギュラーになるのだって、当然なんだ。

俺、やなやつだ。本当はレギュラーになって試合に出たいし、仲石みたいに、もてたい。
なのに、俺は素直にそう言えない。
比べられるのがいやで、負けるのが悔しくて。
平和主義なんて、ごまかしてる。何にも、ちゃんとしてない。

「俺、自分の気持ち、自信なくなった」
あんなに、気になってたのに。
何だか、すっきりした気がした。

「なんだお前、お前もひでえな。俺だけ、バカみたいじゃないか」
仲石が軽く俺の腕を殴った。
「まあまあ、俺、振られたんだ」

そういうことだ。伝言はなし。

そうさ、祐木だって俺だって、自分の気持ちきちんと話してない。
話さなかったら、伝えなかったら、それはさ、誰にも分からない。
人の心なんて、誰にもわかんないんだ。

あいつがどうしても、仲石と付き合いたきゃそうするだろうし、俺がまたもし、祐木のことずっと好きだったら、俺はそのときは、覚悟して行動する。けど。今は違う。

「…じゃあ、今日は帰り、ラーメンでも食ってくか」
仲石が少し笑って、立ち上がった。
「だな」俺も続く。

その日の部活は、やけに楽しかった。

End

あとがき…

「さえっち、歯医者お疲れ!」
「歯医者も疲れたケド、それよりビックリよ、ヒロピン!
こないだ言ってた、男バレのゲームのうわさ。あれ、マジかも!
佐々がね、放課後、なんか言いたそうにしてたんだ、ケド、さえはマジ急ぎだったから。
明日ねって。そしたら、すぐ後に、なんと、アノ仲石くんに告られちゃった!!
でもでも、ゲームだよね、さえ、迷って!
仲石くんマジいけてるから!でも、遊びはヤだもん」
「断ったってこと?それ、ゲームでも遊びでも受けとけって感じ!!」
「さえは佐々がそんなのに乗ってるってのがイヤ」
「さえ、佐々派だもんね(T0T)」
「けど、佐々はちゃんと言ってないし!ゲームかもしれないし、迷うよ!!さえはマジなんだから!でね、仲石くんに、佐々のキモチ聞いてからにしたいって、言っちゃったよ!!やばいかな。どう思う?ヒロピン!」
「…さえ、最悪それ(>_<;)」
「ごめんー!!」
「佐々くんのキモチ、明日聞きなよっ!それからだ、うん。さえっち聞けないならヒロが聞くよ?」
「…くじけたら頼む!m(>_<)m」
「任せて(^^)b」

佐々が眠れなかったアノ夜の、紗枝ちゃんでした。

<<いかがでしたでしょうか(^^;)あまり普段書かない、現代ものなので、表現しきれたかな?少し不安。どうかコメントくださいな(*^^*)>>
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theme : 自作小説
genre : 小説・文学

今日は軽めの短編ということでこちらを読んでみました。
面白かったです。
ラストが、微妙な終わり方をしているところになんだかリアリティを感じました。
リアルでも意外と色んな行き違いの中で、うまくいかないパターンがごろごろしてるのかな?と。
……その後の佐々くんとさえちゃんのお話(今度は甘甘で)も読んでみたい気もしますが。
予定はありませんか?
あ、それからこちらからもリンクを張らせていただきました。
リンクの紹介文、なんだか必要以上に持ち上げてくださっていて。ありがとうございます。

狐さん

読んでいただいて本当に感謝です!!

いや、らんららもどっちかって言うと、
わがままな人間のほうが面白いと思っているので(狐さんの行動に◎)。
仲石くんが佐々の立場ならきっと、
ラーメンキャンセルしてる(^^)b
そこがほら、佐々くんは不器用なんです。
また、きてくださいね!

龍くん

おお!!
現役にそういっていただけると、嬉しい!!
まだ三人とも一年生だから、今後どうなっていくやら。
人間の人生は起承転結では語りきれないからね!
どんなにいやな結末でも、明日は来ちゃうし。幸せーって
結婚したって、その先どうなるかわかんないし。
だから、きっと日記ブログとか、面白いんだよね。
お、なんだか語りくさい(^^;)ごめんね。
また、遊びに行きます!

eigoさん

嬉しい!!
現代ものは自信がなくて(^^;)
(いや、王道ファンタジーも書けないけど)
すれ違うときはすれ違っちゃうし、
上手くいくときはうそみたいな偶然で上手くいくし。
恋愛に関しては、やっぱり現実のが絶対面白いと思うので、
らんらら、普通に恋愛物書けないです。
こんな感じにしか…
楽しんでいただけて、とにかく、ほっとしました!
また、遊びに行きます!

懐かしいなぁ・・・

こんばんわ~♪
話さなかったら、自分の気持ちは伝わらないし、確認もできない…
うん!!そうだね♪
初めてあった人でも、いつもいる友達でも、会話をしなかったら、相手の気持ちも自分の気持ちも、分からないもんね。たまに、話して釣り合わない時もあったり、喧嘩する事もあるけど、そういうのを受け入れて、親友になったり恋人になったりするんだよね?

いや~でも、私が佐々だったら…
「あ、ちょっと用を急に思い出した!!ごめん。ラーメンは今日は無理だ!!」
とか適当に理由をつけて、その場を離れ告白しに行っちゃいますね。
チャンスは人を蹴落としても捕まえろってネ♪

…私は最低な大人に育ってしまったな…

まぁ、恋がしたい!!っと思いつつ今日のところは退散しますm(__)m

ふむむ

はっきり言って
めっさ意表をつかれました。
まさかこんなオチだとは……
でも面白い。
最後の持って行き方も、上のコメのeigoくんとかぶるけど、先への期待があっていいと思います。
いいですね、高校生って感じもあって面白いかと。

こんばんわ!!
いやあ、いいじゃないですか。高校生ってこんな感じなのかもしれませんね。
恋愛ゲーム。遊びも真剣にやれば遊びじゃなくなるし。
それに、最後の含みを持たせた終わり方もいいですね。さえと佐々本当に付き合えるかもしれない。
いいなあ。
懐かしいですねえ。恋愛かあ。
何か、昔を思い出しちゃいました。

では、今日の所はぽちっと退散します!
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