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片翼のブランカ 14

<<「力さえあればなんでもできてしまう。そんな世界、おかしいだろう…」ココの冒険第14話です!!>>

ラタはいつになく不機嫌なシェインを乗せて、下層に向かっていた。
中層から下層に入った直後の風景は、いつもシェインが喜ぶ。
「ラタ、きれいだな」
そういって、いつもラタの首をなでてくれる。
その日は、違った。
シェインは、考え込んでいた。

第二の契約。
そんなもの、ありはしないのだ。言葉の力で植えつけられた、強い暗示。
その証拠に矛盾だらけだ。
デデムが俺を裏切った。それを、力あるものに逆らったと自覚すれば、奴は死ぬ。
自覚なければ死なない。
馬鹿らしい。自覚を促す気にもならん。
ルーノも、自らが俺より弱いと知った時に初めて、恐れを感じる。契約の縛りを受ける。
おかしいだろう、それは。
「第一の契約、本来はそれのみがあった。それだけは、シェイン、お前でも解けない暗示だ。」と白席老は言っていた。
幼い頃から、それは納得できなかった。
「おかしいよ、矛盾だらけだ!老だって、ないって分かってて、第二の契約を、守人の赤ちゃんに植え付けるの?」そういう俺の口を、老は人差し指一つでふさいで見せた。
そうして、笑った。
そんな矛盾に生きるからこそ、守人は生きながらえるのだと。
いまだに、その言葉の真意はよく分からない。
もう、彼に会うこともないだろう。

矛盾に生きる守人。
その矛盾が秩序を支えている。
社会を守る。
あいまいで、不確かなこと。
だれも、不思議に思わないのか。それは、仕方ないことと、あきらめているのか。
不当に、力によってすべてを抑える、神官と言う存在。
俺には、神官は続けられなかった。


 「片翼のブランカ」第一話はこちら
http://ranrara.blog70.fc2.com/blog-entry-51.html

 「片翼のブランカ」前回のお話はこちら
http://ranrara.blog70.fc2.com/blog-entry-75.html




シェインはラタをいつもの場所に休ませると、ちらりと横たわっているフウガを視界に収める。
フウガは、片目を開けてみただけで、前足に乗せたあごを動かしもしない。
「可愛くねえなぁ」
クス、と笑いながら、我が家に入っていく。
その姿を、その足音を、フウガはじっと、聞いていた。

「おい、…あれ?いるんだろ?カータ!」
返事はない。もう夕方だってのに、出かけてるのか?
暖炉のある居室。岩を削って作ったテーブルに、腰の剣を置いた。
見回す。
人のいる気配はなかった。
「フウガなしで、出かけた?あんのか、そんなこと。ああ、それより、腹減ったな」

一つ伸びをして、炊事場をのぞく。
テーブルにパンを切るナイフ、切りかけのパン。チーズは床に落ちている。
「なんだ?」
それを拾おうと、膝をついた時だった。
テーブルの下に、小さくうずくまっている、ココを見つけた。
「おい、ココ!」
びくりとして、ココはそっと顔を上げた。
「そんなとこで、何やってんだよ。来いよ」

笑うシェインに、ココは手を伸ばす。
いつものくるくる変わる表情が、今は、硬い。
「どうした?」
そっと引っ張り出して、抱き上げた。
怯えている。
「カータが、ココは逃げてって」
「あ?」
「黒い神官がきて、黒い風牙に乗ってきて、カータが、ココは逃げてって、ココ、痛いって言って逃げて、ずっとここにいたの。出て来いって神官が怒ったけど、ココ、動かなかったの」
「カータは?」
ココは首を横に振った。
「わかんない」
シェインの、抱きしめる腕に力が入る。

「シェイン?」
「この場所が、知られたってことか」
「…あの」
「神官はなんか言っていたか?」
シェインは、片手でココを抱いたまま、チーズを拾う。
それが、テーブルに置かれるのを、見つめながら、ココは男に首ににしがみついた。
「ココを、連れて行くって言ったの。でも、ココ逃げたの。ココ、悪いことした?」
険しい表情を、どう受け取ったのか、小さなブランカは、泣き出す。

「…お前は、悪くない、さ」
シェインは、そのまま暖炉のある部屋に連れて行った。
日が落ちたのだろう、冷えてきていた。
羊の毛のクッションに、ココを座らせると暖炉に赤いクリスタルを入れた。
「?なに?」
『燃』
ふわっと、音もなく炎が上がり、薪に瞬く間に燃え移る。
「うは、すごい!」
ブランカはもう、笑顔だ。
「…お前、一人で、待てるか?」
「ん?」
「…」
無邪気に炎に触れようとするので、その手を押さえる。
「なあ、ココ」
「なあに?」

「お前、大人になるか?」

ココは、驚いて目をまん丸にした。
「俺が、やってみてもいいんだ。出来るかも、しれないぜ」
そういってこちらを見る。シェインの深い色の瞳がじっと、真剣に。
ココは、どきどきが大きくなって、何もいえなくなっていた。
「いや」
ラクの、冷たい顔が思い出された。
「大丈夫、怖くないぜ」
「いや」
「…」
シェインが、床にすわったまま、ココを抱き寄せた。
「いーや!」
翼をパタパタする。足もばたばたする。

「しねえよ」
手で顔を覆って震えるブランカを、シェインは抱きしめた。
なんで、こんなの、拾っちまったんだよ。
俺がこいつを拾ったために、カータは。

「ココ、一緒に来るか?」
言ってみた。
「行く!」
むしろ嬉しそうに笑うブランカに、シェインはため息をついた。
「ばか」
「なあに?」
「…カータはな、俺にとって、大切なんだ」
「カータも言ってた。大切、大切」
「歌わなくていい」
「あん」
「こんなことなら、さっさと所有の契約しておけばよかった」
「ふうん?」
「例え、どんなに偉い神官でも、誰かに所有されているものを無理やり自由にはできない。なぜなら、所有者の意思に反することをさせれば、死に至るからだ。第一の契約に反する。守人は、生き物を死に追いやることはできない」
「わかんない」
「ああ、そうだな。・・そうか、じゃあな、ココ。俺の、母親は父親に一方的な所有の契約をされていた。分かるか?俺がカータと結びたいのは、互いに相手を所有する契約だ。力あるものは一方的に所有できる。所有する相手は何人でもいい。けどな、自分が所有される相手は、ひとりしか選べない」
「…」
ココは首をかしげる。
「父親には、二人所有する女がいた。俺の母親はそのうちの一人だった」
「…ははおや?」
「そうだ。俺を産んでくれた」
「…?」
「母親は、嫌だったんだ。父親に所有されることがな。強い女だった。俺を産んだ後、父親との契約を、破った」
「ちちおや?」
分からなくて、口を尖らす。シェインは、暖炉の炎を見ている。
ココではない誰かに、話しているみたい。
ココは黙った。
鉄色の髪の影が、額にかかっている。かえって頬を照らす炎の明かりが、不思議に男の顔を白く見せた。シェインの顔は悲しそうだった。

「母親は、父親とともにあることより、死を選んだ」
「…?」
「だから、俺は、…カータが納得いくまで、待つことにしたんだ。あいつが、心から契約したいと、俺と一生をともにしようと、考えてくれるまで」
「…」
「なんだ、何で泣いてる?」
ブランカはシェインの正面に座り、ちょこんと膝をついて見上げていた。金色の瞳から涙がこぼれていた。
「わかんない」
「…弱虫だな。ココ」
シェインが穏やかに笑う。その深い色の瞳が、優しく感じられて、ココはもっと涙が出てきた。
「ココ、弱い?」
「違うよ、うそだ。お前は、優しいんだ」
「うそ?」
シェインは、ココを抱きしめた。

「お前、大人になりたくないんだろ?」
「うん」
ココはうなづいた。
大人と言う言葉は、どきどきする。
怖い。
「俺は、悪い奴だな。カータのために、お前を、犠牲にしようとした」
「うそだよ」ココが、微笑む。
「なんだ?」
「うそなの。シェインは悪くないの、優しいの」
「すぐに覚えるな」
「ふふ。えらい?」
「…ばか」
シェインはもう一度、ココを抱きしめた。
銀の髪を頬に感じながら、シェインは目を閉じた。
…守りきれるだろうか。

 「片翼のブランカ」続きはこちら
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theme : オリジナルファンタジー小説
genre : 小説・文学

eigoさん

深読みしてくださって嬉しいです!
どんな世界にいても、きっと、みんな悩んだり、
迷ったりするかなぁなんてとこを、表現できたらと思っています!(理想だけは高い^^;)
また来てくださいね~!

団長さん

ありがとうございます!
書いててボク一人喜んでいるなぁv-356
団長さんがほれるv-344様な
いい女を描けたらいいのだけど(^^;)
らんらら、勉強不足(TT)
成長を見守ってください!
また、後で行きます!

こんにちわ!!
うーむ、「契約」の問題、そして「契約の矛盾」の問題、色々な問題を孕みながら今回の作品も展開していきますね。
らんららさんの作品は色々な問題を提起しながら、読者に考えさせる、っていう形式ですよね。「蒼い星」もそうでしたし。色々考えさせられます。
で、物語の方もどんどん広がっていきますねえ。シェインがだんだんココに対して愛情を感じ始めていて、なんか、僕も嬉しくなっちゃいます。
ココ、これからどうなっていくんだろう?
うーむ。
次回を楽しみにしつつ、今日はこの辺でぽちっと退散します!

このシーンココの可愛さと
シェインの男前炸裂ですね(>∀<)
この二人が出てるのいいです☆
いいコンビですよ♪
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