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「音の向こうの空」第十一話 ⑤

第十一話:飼い犬、つながれた鎖の先に



「!」
「く、そんな顔をするな。楽士オリビエは死に、私のもとにマリアが残る」
意味が分からない。
「あの、東方の秘薬でも使うおつもりですか」
「ぶ」と男爵は笑った。
「ばか者、お前は死んだことになる。あの侯爵の手から逃れるにはそれが一番だ。革命軍に人質として取られ、これから始まる混乱の中命を落とした。そうして我が領地リンスでマリアとして暮らすのだ」
「ですから、マリアとしてというのが、解せません」
女ではないのだから。
「ドレスでも着させれば理解できるかな?」
「着ませんよ!気持ち悪い」
「ああ、確かに気持ち悪いだろうな」
オリビエは頭を抱えた。
「ですから、男爵」
「私はお前にマリアを見る。私にとってお前はオリビエではない、マリアだ。それを承服しなければ殺す。それだけのことだ」

切れ者なのか、どこか欠落しているのか。
「承服したら、私はどうなるのですか」
「我が屋敷でマリアとして生きる。それだけのことだ。必要なら楽器も用意させよう」
「侯爵と同様に、雇われるということでしょうか」
「雇うのではない、そばに置く」
置物ではないのに。
「あの肖像画のように、ですか」
「そうだ。私が黙れといえば黙り、動くなといえば動かぬ。マリアの血を引き、顔を持つのだ、その位してもらわねばな」
「……リトーが、いるではないですか」
それほどまでマリアを求めるのか。
虚像となり、妄想となっているそれに恋焦がれるのか。

「あれは、違う」

「リトーは貴方を愛していますよ」
「……知っている」
「では」
「だからこそ、マリアではない」

男爵にとってマリアという虚像は永遠に追い続ける存在なのかもしれない。その心理は理解できないが。哀れであることに変わりはない。
その憐憫の情がリトーの心を蝕むのかもしれない。
これ以上なにを言っても無駄なのだろう。オリビエはただ黙って、自分を抱きしめる男爵を見つめていた。

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