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「音の向こうの空」第二十一話 ⑥

第二十一話:ヴィエンヌ・オペラコンクール



アーティアの演奏するオペラ。それは、音色こそ違うがまさしくオリビエたちの楽曲と同じ旋律を持っていた。序曲、アリア、一幕が終わる頃には、これがただ似ているだけでは済まされないほどであることを誰もが理解していた。
「どういうことなんだ?!」
「盗作されたんじゃないか?」
団員がざわめく中、アントニオが派手に立ち上がった。
「絶対盗作だぜ、俺が確かめてきてやる!」
来い、と手を引かれオリビエは楽屋に連れて行かれた。

分かっていた。あれは自分の楽曲。だけど。どうして、アーティアがそんなことをするんだろう。

アントニオに引かれ、背後に憤るエミリーを連れてオリビエは暗い廊下を早足で歩いていた。幕間に間に合わず公演が終わるまで待たなくてはならなくなった。控え室の前で、苛立つアントニオの強い手に握られ手首が痺れるほどなのに、オリビエは必死で考えていた。
どうして、アーティアが僕の曲を演奏するんだ。
理解できなかった。

「あの、もし、盗作って分かったら、どうなるのかな?」
「そんなの、国外追放よ。そうでしょ?」エミリーが怒りのまま判決をくだした。
「ま、二度と音楽の世界で活躍は出来ないな」と、アントニオが下方修正する。
「ボウヤ、まさかあんたじゃないでしょうね!」
「ち、ちが…」
「おい、来たぜ」
成功を喜ぶシュタイアーマルクの楽団員たちに囲まれ、アーティアは笑っている。
オリビエは拳を握り締めようとし、改めて「あ、アントニオ、手が痛いよ」と。八つ当たりを受けていたことに気付く。当のアントニオの青ざめた怒りの表情はすでに、オリビエより目の前の敵、シュタイアーマルク歌劇団の作曲家アーティアに向けられていた。


「ふざけたことを言うな。俺はこの原曲を編曲したんだ」
アーティアは詰め寄る三人を従えるように控え室に入ると、上着を脱いだ。
「迷惑だ、出て行ってくれないか」とアントニオを睨み返す。
言い張られると思っていなかったためかアントニオはひるんだ。
「もう、しっかりしなよ、あんたは」エミリーが背中をつつけば、アントニオは慌ててオリビエの荷物から楽譜を引っ張り出した。
「見てみろ、これがオリビエの書いた原曲だ、あんたたちのはそっくりだろう?これを使ったとしか思えないだろうが!」
「それ、俺が書いたんだ。ほら、これと同じだろう?」
アーティアは傍らにあった別の楽譜を示し、オリビエを真っ直ぐ睨みつける。
「!」
そうだ、確かに、あの楽譜はオリビエの演奏をアーティアが楽譜にしてくれた。当然、アーティアの書いたものだ。

「え?そうなの、オリビエ」
「あ、あの」
確かにアーティアが書いたといえばそうなのだが、曲は。
「オリビエ、ここで盗作だなんてしてみろ、二度と音楽の世界に戻れないことになる。いくら俺でもそんな馬鹿な真似はしないさ」
そう言うアーティアは、口元に薄い笑みすら浮かべている。

どれほど危険なことが分かっていて、なぜ僕の曲を使ったのか。真実が明らかになったら、アーティアは大変なことになるんじゃないだろうか。

「そんな不名誉な言いがかりは止めて貰いたい。俺たちの生活や未来がかかっているんだからな。オリビエ、俺はお前に音楽を教えてやったのに、お前は俺を陥れるような真似をするつもりなのか?随分な性格だな、お前」
笑っている。

追い詰めたはずの犯人が予想外の余裕の笑み。混乱したのか、アントニオもエミリーも今度はオリビエを見つめている。
真っ先に口を開いたのはエミリーだ。
「乙女ボウヤ、まさか、本当にこれ、この人が書いた物だって言うんじゃないだろうね!」
オリビエは、皆を見回した。

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