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片翼のブランカ 23

<<ども、管理人らんららです!『片翼のブランカ』とうとう、第23話まで来ました(^^;)あっというまでした。
走り抜けるように書き進んだ作品です。
あと少しだけ、ココちゃんにお付き合いください!応援してあげてください(>_<;)>>


絹の白さで、シェインは目を覚ました。
先ほどの部屋だろう。耳元に、ぬくもりを感じる。
「シェイン…」
カータだった。
床に横たわったシェインを、膝に抱き、薄い青い瞳に涙を浮かべていた。

 「片翼のブランカ」第一話はこちら
http://ranrara.blog70.fc2.com/blog-entry-51.html

 「片翼のブランカ」前回のお話はこちら
http://ranrara.blog70.fc2.com/blog-entry-87.html





「泣くなよ」
顔の上にある女の頬を指の背でなでると、シェインは起き上がろうとする。
肩の傷は、手当されてあって、彼は上半身裸だった。
熱があるのか、だるい。
カータに支えられて、体を起こすと、室内を見回す。カータが上着を着させてくれた。
「お前、そんなに綺麗だとは思わなかったぜ」
また、涙をこぼすカータの頭をなでて、胸に抱きしめた。
「だから、泣くな。どうなったんだ?あいつらは?」
「…ラタが、落ちて怪我をしたらしいの。その時に、ココが、言霊の結界を破ってしまったとかで。神官たちが大騒ぎで。私たちは放っておかれているの」
カータの額の石が、コツリと胸に当たる。
忌々しい、感触。
「しおらしいのも、たまにはいいか」
もう一度、自由になる左手で抱きしめる。
「…ごめんなさい」
シェインは笑った。その深い色の瞳が、じっとカータを見つめる。
「もっと、早く、契約しておけばよかったな。すまない」
「私も、悪かったの」
「この間は惜しかったのにな」
「ラタが」
「ああ、あいつらが邪魔した」
やっと、カータがくすっと笑った。
「いいか、カータ。お前がどの契約を、破ることになっても、それはお前の意思じゃないんだ。お前に命じたルーノの意思だ。契約を破る意思を持つあいつが、なんともないなら、お前だってなんともない。そうだろ?」
「そう、なのかな」
「そうなんだ。俺のこと信じろ。ほら、ちゃんと、覚えておけよ」
カータは、気付かない。
シェインは、そっと、言葉に力を込める。
それは神官として、生まれたばかりの守人に、第二の契約を結ばせる時と同じ、強く静かな力。
生まれた時から植えつけられた第一と第二の契約を、今からなかったことには出来ない。幼い心は素直にそれを受け止め、強い暗示を受けてしまっている。
大人にそれと同じ強さの暗示をかけることは困難だった。
信じる気持ちと、シェインほどの力がなくては、難しかった。
そして、それが一時的に効果を発揮したとしても、根底に植えつけられている契約に矛盾することを本人が感じてしまえば、終わりになる。
注意深く、強く、力を込める。
力を持たない彼女に、矛盾を突けといっても、契約とは暗示であると教えても、シェインやルーノのように、契約を無効にすることが出来るとは思えない。かえって苦しむだけだ。それより。
俺がこうして、守る。
神官や神兵に出会った時に、耳をふさげと冗談めかして言ったのも、暗示を含んでいた。
力のないカータが、フウガを所有できるのも、方法を教えながら、出来るのだと暗示をかけた。
こうして、守ってきた。
カータがそれに気付く必要はない。
「なあ、俺が神官に戻ったら、嫌いになるか?」
カータはくす、と、噴出した。
「いやあね、そんなことないわ。珍しく、弱気なのね」
「ふん。そういうのも、たまにはいいだろ」
「よしよし、大丈夫、ずっとそばにいるんだから」
カータは抱きしめられながら、背に回した手でシェインの鉄色の髪をなでた。
まるで、ココにするように。



突然、部屋のドアが開いた。
神兵が、五、六人入ってくる。
「なんだ、邪魔するな」
にらむシェイン。
神兵の一人が、シェインの前で膝をついた。
「ルーノ様は強引にお連れしろとおっしゃるのですが、われらにはそれは、不可能。どうか、自らの意思で、来ていただきたい」
「なんだ?」
「あのブランカが、言霊の結界を破って、アースノリアに落ちたのです」
「アースノリア?…ラタは、どうした」
神兵は、首を横に振った。
「前脚を折っていまして。手当はしたのですが」
シェインは唇をかんだ。ラタが、死んでしまうのも、時間の問題だろう。空角にとって、脚は重要だった。立ち上がれなければ、いずれ死ぬ。

「行こう」
「シェイン!」
ついてこようとするカータを押し戻した。
「お前はここにいろ」
「いやよ!バカ!」
「…勝手にしろ」
怪我をした肩を押さえたまま、先を歩く男の手を、カータが握り締めた。
振り向きもせず、歩くシェイン。
その大きな手が、強く握り返す。

「ね、アースノリアって行けるものなの?ココ、大丈夫なの?」
カータの質問に、脇を歩く神兵が答えた。
「どうでしょうか。われわれも、降りたことはありませんので」
「ねえ、シェイン」
「俺も知らないんだ。昔、守人はアースノリアにも住んでいたらしい。以前、リアータ神王がおっしゃっていた。アースノリアの人間は、われわれ守人を脅かしてきた。だから、守人はアースノリアを捨ててきたんだ」
「ふうん。人間って怖いのね」

カータは、少し歩を早め、シェインの隣に並ぶ。
シェインは、少し厳しい表情で、前を見つめたまま言った。
「ああ、野蛮で貪欲な生き物だと聞いている。ココが、無事だといいが」
「ねえ、リアータ神王はココを殺すって言ってたじゃない、そのまま、助けないつもりなのかな」
「どうだか、わからん。大体、どうしてココを、ブランカを殺そうなんて考えるのかが分からん」

回廊の周りは、神兵が固め、シェインたちが来ると、さっと道をあけた。
回廊の円柱に囲まれ、中庭の泉には、リアータ神王と、ルーノの姿があった。彼らは、泉を囲む海竜の像、丁度その頭の前にたたずんでいた。その背後には、黒い衣装の緑石の神官たち。ルーノの金髪と、神王の白金の衣装がやけに目立った。
彼らから、いくらか離れた泉の脇に、フウガが、座っていた。その前には、空角が、横たわる。
ラタだ。
白い翼に、ステンドグラスを透かした陽光が、赤く、黄色く、揺れる。誰も、動かない。

「ラタ!」
シェインは神官たちを無視して、駆け寄る。
小さく、息をしている。
横になった顔は、そのまま、黒々とした瞳だけが、主人を見つけようと、きょろきょろする。白い大きな体の下には、血が残っていた。
手当された前足は、添え木を当てられ、伸縮性の有る生地で固く縛られている。
足だけではないのかもしれない。
ラタの、うつろな潤んだ瞳は、見えているのか怪しかった。
そっと、シェインが声をかける。
その首をなでてやる。
「ラタ」
シェインの声に、一つ瞬きした。
シェインの束ねた髪がラタの顔の前に落ちる。
ラタは、鼻を動かした。少し、落ち着いた表情になった。
「あの、長くはありません。契約を、解いて差し上げてはどうでしょう…」
手当した医官が、シェインの横で頭を下げた。
「…ありがとう。だが、悪いな。なあ。ラタ。お前は、最期まで俺の空角だ。俺の相棒だ」
小さくラタが、鳴いた。
シェインの後ろで、ただ、立ち尽くしていたカータが、横のフウガを見つめる。フウガもクンと、小さくのどを鳴らした。
「ごめんね、ラタ、フウガ。私が力がないばかりに…」
また、涙をこぼす。
シェインはラタの首をゆっくりともう一度なでると、立ち上がった。
「泣くなよ。力がないことは悪くなんかない。力あるものが悪いんだ。特に、このエノーリアではな」

シェインが睨み付ける先には、ルーノの皮肉な笑みが有る。
「そんなことより、シェイン。お前にひと働きしてもらいたくてな」
「…」
鋭い視線とともに、吐き出しかけたシェインの言葉は、声にならないまでも背後の神官たちを怯えさせた。

「ココを、連れ帰ってほしいのじゃ」
そう言ったのは、リアータ神王だった。
「その女の、契約、解きたくはないか?」

「あまりにも、老、残念です。あなたが、これほどまでに、命を粗末になさるとは。
私に、その尊さを教えてくださったのは、あなたでした」
シェインの怒りを含んだ静かな言葉は、静まり返った中庭に響く。

「お前は、知らんのだ。ココがなんであるかを」

 「片翼のブランカ」続きはこちら
http://ranrara.blog70.fc2.com/blog-entry-89.html



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龍くん

ありがとうございます!
そうか、やっぱり…
今ひとつ、ココちゃんが、ヨハンナのことを好きになるっていう
実感が薄いなぁとは思っていたんだな(^^;)
また、後日サイトに移す時には、修正かけます。
アドバイス、助かります!
自分では、いろいろ悩みだすと訳分からなくなっちゃうので(バカ…TT;)
「UNDOLIFE」、読みに行きますね!

感想です

面白いですね、まるで北欧神話か何かを読んでいるようでした。
ココが現実世界に落ちた所など現実味が増して非常に良かったです。
ただアースノリアに入ってからの展開が急すぎる気がしますね。
一日一日の密度を濃くした方がいいかと。
ココが来たことによる感情の変化を視点を変えて表してみるとか、もう少し具体的に表すと良かったように思えます。
それでも全体的に見て完成度はかなり高く、素晴らしい作品だと思いますよ。
続きも楽しく読ませて頂きますね。
そうそう、UNDOLIFEの続き、短いですが載せました。
よかったら読んでみてください・。
では。

アポロさん

ありがとうございます!
ココちゃんがんばります!
シェインも、がんばります!
ああ、でも、小説も終わりに近づくと、
いつも、これでよかったかなぁ何て
ドキドキしちゃいます。
不安。
また、コメ待ってます!

ラタ~ ;;

久しぶりのシェインとカータの登場にうきうきのアポロです^ω^
でもでも・・・ラタがぁ。がんばったもんね。ラタがんばったよ。うんうん。
ココちゃんと会えるのかなぁ。ドキドキ。
次回も楽しみにしてます☆
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