08
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
   

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

片翼のブランカ 24話

<<ココは、なぜ殺されなくちゃならないの? ココちゃんの冒険第24話です!!>>
「ルーノが言っていましたね、ココを殺すことでより多くの命を救うと」
苦々しく、ルーノを睨み付ける。
シェインの傍らに膝をついていた、カータが立ち上がった。
そっと、シェインの手を握る。

「片翼のブランカ」第一話はこちら
http://ranrara.blog70.fc2.com/blog-entry-51.html

 「片翼のブランカ」前回のお話はこちら
http://ranrara.blog70.fc2.com/blog-entry-88.html



「今から何年前になるか、われら守人は、エノーリア、アースノリアともに行き来して暮らしておった。それは、話したことがあったな」
シェインは黙ってうなずく。

「われらは、命の転生の輪を守る。ブランカは、生き物の新しい種となって、環境に耐え切れなくなった生き物の命をつなぐ。太古から、様々な生き物が絶滅し、そして新たな種が生まれてきた。
ブランカは、大人になって新たな種となる。
ブランカがいなければ、アースノリアにもエノーリアにも、生き物は残っていなかっただろう。
ブランカを守ることで、われ等守人は、太古からアースノリア、エノーリアを守ってきた。

ある時、一人のブランカが人間となった。
それは、猿人から飛躍的に進化した新たな種だった。
人間は、増え続けた。
いくつもの生き物を犠牲にし、種を絶滅に追い込みながら、人間だけが増殖を進めた。ついに人間は、守人まで脅かし始めた。
過去には神などと崇めておったくせに、時代が進むにつれ、われらを異端の民、異教徒、怪物、魔女、先住民族などと呼び、追い払い始めた。

われ等は命を奪うことができない。
人間は貪欲に、守人を殺していった。
いくつの都市が、壊滅に追い込まれたことか!
われ等は、アースノリアを捨てた。
アースノリアへの道をすべて、封印し、エノーリアで、ブランカを守ることに専念した。
分かるか?
ココは、人間の新たな種となる。
あれは、生まれ出でた時、はっきり言った。
人間になるとな。」

シェインとカータは、見合わせる。
「でも、ココは、知らないって…」
カータの言葉に、ルーノが答えた。
「ココは、生まれてすぐに、神官の手によって、翼をもがれた。
完全な人間に、完全な種にならぬよう、大人になれないようにと。
ブランカを殺すことなど、その時はできなかった。
翼を切り取るためだけでも五人の神官が命を落とした。
ココは、片翼となった。そして、私と契約させた。そうして、あれは、全てを忘れたのだ。
それ程の犠牲を払ってでも、人間を、今以上進化させることは防がねばならない。
すべての生き物のためにな」
「ひどい…」
カータが口元を覆った。
「それでも、ココは大人になるぜ」
シェインは、ルーノをにらんだ。
「そうだ、覚えてもいないくせに、あれは、人間らしい感情を学ぼうとする。周りのすべてに興味を示す。だから、今のうちに殺してしまうのだ」
「契約とは、なんだ?なにを、ココと契約した?ブランカが、契約に縛られるものなのか?」
ルーノはにやりと笑った。

「さあて、契約の効果は、破られてみないと分からん。だが、あれは、実際に大人になって何になるのかを忘れていた。
契約も効果があると、思っている」
「だから、何を」
「ふん。ブランカは大人になるときに一度命を落とす。守人の死に似ている。その直後転生させることで、新しい種となる。転生さえしなければいい。
厄介だった。
生まれたばかりのあれは、物事が分かっていない。ただ、自分が人間になるとだけ、分かっているのだ。
こうすれば死ぬ、と暗示をかけようとしても、死の概念が分からん。
だから、翼を失って苦しむココに、伝えたのだ。
全てを忘れることを。翼を失ったことも、人間になることも。
もし、思い出せば、残る一つも、切り取ると。
同じ痛みを、味わうのだと。
それならば、理解できた」

「ひどいわ!生まれたばかりのブランカに、そんなことするなんて」
カータの声は震える。
ココが、大事そうに残った一つの翼を繕う姿を思い出す。
無意識に、失った痛みを覚えているからなのだ。

「とにかく、シェイン、お前はその女のためならなんでもするわけだ。アースノリアに降りて、ココを連れてくるのだ。人間どもに、エノーリアの存在を知られるわけには行かない」
「シェイン!」
カータが後ろから抱きしめた。
「大丈夫、行ってくるさ。どちらにしろ、ココはそのままにしておけない。連れてくる」
「でも、殺されちゃう…」
「かもな…」
シェインのそっけない言葉に、カータは黙った。

どうしようもない。
私が、契約に捕まっている限り、シェインには、選択の余地がない。
今、彼は、私のために危険を冒す。
ココちゃんが、殺されてしまうかもしれない。
神官たちは、連れ帰って、また、フウガに殺させようと考えているかもしれない。
それでも、私のために…

「お前は、自分のことだけ考えてろ」
額を指で突かれて、カータはよろりと、男から離れた。
「フウガ、借りるぜ」
その言葉を待っていたかのように、真っ白なフウガは、一つ飛び上がって、シェインの傍らに立った。姿勢を低くする。
目の前のラタに、目を閉じて、かすかに息をしている空角に、フウガは何か告げるように、首を傾げた。
シェインが背に乗る間に、フウガは、そっと、ラタの傷をなめた。
「さて、行くか」
泉の縁にひらりと飛び乗って、一瞬フウガが、留まる。
シェインは、ちらりと、冷たい視線を、神王に向けた。
ただ、見ているだけなのか。ただ、今のままを望むだけなのか。
最も力を有しながら、それを、このようにしか使えないのか。
その視線には、哀れみさえ浮かぶ。

フウガが、泉に飛び込んだ。
とぷん。
絡むような、重い水に沈みながら、シェインは祈った。
誰が正しいでも、悪いでもない。
エノーリアを守るだけが、生き方ではない。
自由だけが、生きる目的ではない。
ただ、俺は、目の前にある二人の命を救いたいと、そう思うだけだ。
力のない者たちだからこそ、守るべきだと、そう思うだけだ。

ココを連れ帰ったからといって、守れるとは、限らないが。
自信など、今はなかった。


どんよりとした、重い水の中で、一瞬意識を失いかける。
フウガが、何か言ったような気がした。
沈んでいくはずが、不意に上に引かれる重力を感じる。
ざ、と、勢いのまま、フウガは水面を破って宙に飛び出した。空が足元にある。慌てて、くるりと反転する。手綱でなんとか落ちずにいるシェインが、しっかりと体制を整えるのを待って、一度自らの出てきた池のほとりに降りた。

そこは、白い雪原の中だった。小さな池は、白いもやを水面にたたえ、怪しげにゆれている。その池だけが、凍てつきもせずに生きているかのようだ。
周りには黒く細い木立がまばらにある。それも深い雪に埋もれている。
山の陰になるのだろう、薄暗いそこは、しんとして、音もない。
時折、冷たく強い風が、頬を打った。
見上げれば、青い空が見えた。風が強いためだろう、白い雲が糸を引くように走る。

「これ、が雪か。初めて見る」

シェインの声に答えるように、フウガはぶるっと体を震わせた。
肩の傷が、ずきずきと痛んだ。それに気付いたのか、フウガが後ろを向いて、慰めるようにシェインの手をなめる。シェインは、フウガの耳の後ろをなでてやる。
「寒いな。お前、ココの声が聞こえるんだろう?」
フウガは気持ちよさそうに目を細め、のどを鳴らした。
「連れて行ってくれ」
フウガは、聞いているのかどうか、雪原に座ると、顔にかかった雪を、前足で払い始めた。顔を払っては、足をなめる。
その前足が、ひげを綺麗に整えた時だった。
ピクリと耳を動かした。
シェインは、黙ってその様子を見ていた。
不意に、飛び立つ。

「だめ!ひどいことしないで」
ココが怒って、男のほうに向かおうと、身を翻したときだった。
ひときわ強い風に、あおられた。
ココの手が、離れた。屋根がするりと離れていく。
「あ!」
空が見えた。
足元には何もない。
まぶしい太陽と、白い光。
ぐるりと目が回って、ココは目をつぶった。
がくんと、何かに引っかかったように、止まった。

「おい、噛むなよ」
聞き覚えの有る声に、ココは上を見上げようとする。
背中のフードを何かがつかんでいて、下しか見えない。
もごもごともがくブランカに、フウガがだめだよと、声をかけた。
「!フウガ!」
嬉しくなったココの視界には、もう、小さくなった緑の屋根しか見えない。
小さい庭に、黒い小さい人影がいくつか動いて、見上げているようだ。
ヨハンナ…
小さい赤い影が、こちらに手を振っているように見える。
ココは、切なくなって、涙が落ちた。

「お前、変な服着てるな」
シェインが、ココを引っ張り上げて、自分の前に座らせた。
「シェイン!」
ココは、前を向かずに、シェインに抱きつく。
「おいおい、なんだよ、そんなに人間が怖かったのか?」
「だって、ココね、ずっともう、会えないかと思った!だって、夜が何回も来たのに、ココは帰り方分からないし、シェイン来てくれないし!」
「何言ってる、ほんの一時間もたってないぞ」
「違うもん、ココ、ずっと、ずっと待ってたのに!」
しっかり男の服をつかんで、ココは怒った。
そうか、アースノリアとエノーリアは時間の進み方が違うのかもしれないな。
シェインはふと思う。

「ココ、ココ、困ってたのに!どうしていいか、分からなかったの!」
「なんだ、やけに怒るな。悪かったよ、ココ、俺だっていろいろ大変だったんだぜ」
泣いてしがみつくブランカに、シェインは笑った。
「ココね、ココ、困ったの、ヨハンナも大好きなの、シェインも大好きなの、カータも、ラタも先生も、シュナイダーさんもケーキさんもみんな、大好きなの」
「だいすき?ってなんだ?」
「んと、えと、大切に似てる」
「人間の言葉か」
「ん、ココ、みんな、大好きでね、どっちに行くか迷ったの、でね、シェインが来たら聞こうと思って!
あのね、ラクはこっちにいたの、でも、ぜつめつになっちゃったっていうの。
ココも大人になったら、こっちに来るの?
ぜつめつになるの?
ぜつめつになっても、ヨハンナに会えるのかな」
シェインは、黙った。
鳥になったラクは、新しい種として、定着する前に、滅ぼされてしまったのか。
本来なら、守人が、守ってやるべきではなかったか。
人間が、生き物に脅威を与えるなら、それから守ることが、われ等の使命ではないのか…。
エノーリアに閉じこもって、ただ、自らの保身を図る。それは、守人とは、いえない。
「ねえ、シェイン」
厳しい表情の男の頬に、ココはぴたぴたと手を当てた。
「うひゃ、あったかい!ね、ココ、人間、に、なりたい」
ニコニコ笑って、男の束ねた髪をくるくるもてあそびながら、ココは見上げた。
誇らしげに、その金色の瞳は微笑んでいる。
「ココ…」
「ヨハンナと約束したの、ずっと一緒だって、あのね、えとね、けっこんっていうのしたの。誓ったの。でね、その…」
ココはうつむいて、頬を赤くした。
どきどきしてくる。
シェインが、不意にぎゅっと、抱きしめた。

人間になりたい。そう、気付いても、平気なんだ。
ルーノ、お前の契約は、成立してない。
よかった。

「…ココ、お前、本当に、人間になりたいのか?」
「ん、大人になるのは怖いけど、人間になるの」
もごもごと、一所懸命話す。

それは、どれほどの結果をもたらすのか。
俺は、何ができるのか…
誰かを、守ることが、できるのだろうか…

「フウガ、お前、カータを頼めるか?」
フウガが、何か言った。
「できるよって」
ココが訳した。
「そうか。考えがある」

 「片翼のブランカ」続きはこちら
http://ranrara.blog70.fc2.com/blog-entry-90.html


関連記事
スポンサーサイト

theme : オリジナル小説
genre : 小説・文学

eigoさん

この間、ON AND OFFにコメ入れた気がしたのだけど、
間違って消えちゃったみたいです。ごめんなさい!
また、行きますので。

期待していただいて、嬉しいような、怖いような。
どきどきです!最終回は、一気に読んでほしいので。長いですが。
特に大したひねりもなく、すんなりと終わります。
ぜひぜひ、感想お願いします。
eigoさんとこも、行きますね!

狐さん(いらっしゃい!)

どうでしょう?どう?ココちゃん。
可愛い?(可愛いと言われると自分のことのように思うバカなの、らんらら…)
あと、一話です。コメントお願いします!
ダメだしも、受けます!がんばります!
また来てくださいね!
らんららも、今から行きます!

団長さん

お帰りなさい!
お約束どおり、7月いっぱいで終わりにしました!
でも、らんらら本人が一番寂しい!!
夏が終わった感じ(>_<;)
団長さんの楽しい夏の思い出読ませてもらって、
元気もらおうかな!
また行きますv-238

龍くん(^^)/

ありがと!
なんと、手の内、大体らんららと同じだ!
なのに、同じなのに、この文章力の違いは…
あんまり考えないようにしよう(TT)
らんらら、努力の人だから、才能とかないから…
書くことに対してのスタンスがとっても賛同できちゃうなぁ!
無理しない。かけないときは書かない。
そうだねぇ、らんららも、少しのんびりにします!
コメントもらえなくなるのさびしくて(おい^^;)
つい、毎日更新したくなっちゃう(さびしがり)
ココちゃんの話も終わったし、「蒼い星」番外とか、小出しにしながら、次のはゆっくり書こうかな。
寂しいといけないから、ラブコール送っておこう!
また、来てねんv-238

おはようございます!!
ここ数日生活が不規則になっってて中々ネットが出来ませんでした。
今日やっと3話分読むことが出来ました。
いやあ、すごいことになっってますね!
なるほど、ココは新たな人間の種になるんですね! このまま人間の新たな種となってしまのか?
うーむ、又ヨハンナと会えるのでしょうか?
どんな結末になるんだろう?
うーむ。
次回に期待してます!
 

ほぇぇ~

わ~わ~!!(やかましい…)
もうクライマックスだ!!
実は丁度、私も続きが書き終わり終わった処ですm(__)m(今週はお休みしようと考えて増したが…)
ココちゃんはいったいどうなるだろう?
次の更新待ってます。
(私は終わるのかなぁ…)

久しぶりに来れました^^
なんか凄い展開になってるじゃないですか!
クライマックス!
ココちゃんはいったいどうなるの?
本当にココちゃんは大人になっちゃいけないの?
シェインの考えって何?
などワクワクでいっぱいです♪
次の更新心待ちにしています☆

どうも

まさかの展開です。もしかしてココは……
ドキドキものです。
さて、話は変わり。
手の内明かしてと言われたので明かしますよ(笑)
役に立つかは分からないですが。
俺の場合は作品を作る前にプロットを四つ立てます。
四コマ漫画って起承転結になってますよね。それと同じように
起章、承章、転章、結章に分けておおまかな設定を決めます。
ある程度の設定が決まり次第書き始めます。
その途中でいいキャラクターが浮かんだり、面白いイベントが浮かぶので付け加える。
そうすれば後々にも影響しますから。
調子が良い時は手が勝手に動いてくれます。そういう時に書いた文は、考えて書くより大抵いいものが出来ますから。
逆にペンが進まない時は休みます。本職の勉強したり、音楽聴いたりして気分を変えます。
考えても駄目な時は休みますね。
書くときは書く、書かないときは書かないとメリハリつけてやってます。
その位ですかね?またなんか思い出したらアドバイスしますよ。
では。
Secret

プロフィール

らんらら

Author:らんらら
のんびり小説を書いています
日記ブログはこちら♪

ランキング参加中です♪

クリック よろしく~♪

FC2Blog Ranking

最近の記事+コメント

FC2カウンター

リンク♪

小説ブログの皆様

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。