08
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
   

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「音の向こうの空」第二十八話⑧

第二十八話:牢獄の天使



にぎやかなキシュが自分の部屋へと戻れば、男二人のそこは静まり返る。
するりと何杯目かのワインを空にするリエンコに、ズレンは呆れた顔で見入る。
三十前半に見える、整った顔のロシア人。何者なのか。拙いクランフ語とオリビエに向ける甲斐甲斐しさからは想像もできない、裏の顔を持っていそうな男。
「あんた、国王陛下の幽閉されているタンプル塔まで、行ったのか」
わざとこの男は赤い服を着ていたのだろう。
リエンコは目だけで笑い。
「扉の鍵の在り処を教えていただこうとね。陛下はご自分の作品*のことになれば夢中で話して下さった。まして、自分を救い出してくれる相手になら」
(*ルイ16世は錠前作りを趣味としていた)
「だましたのか」
「裁判所からお救いするには、地下の秘密の通路を使わねばなりません。事前に扉を開けてお待ちしておりますゆえ、鍵の在り処をお教えください。そう言っただけだ。国王が裁かれるのがいつなのか知らないが、その時には扉は開かれているだろう」
オリビエのために、か。
そう呟いたズレンにリエンコは黙って頷く。

国王の反応が手に取るように想像できる。このことを無邪気にも側近に話したのだろう。だが衛兵も誰もリエンコの姿を見ていない。それを聞いて国王は赤い幽霊の噂を思い出した。「そういえばあの男、秘密の通路のことを知っていた、それはやはり幽霊だったからか」とかなんとか。気の弱い王のこと、騒ぎ立てたのだろう。
赤い服の男に皆が神経を尖らせるようになれば、オリビエを逃すには丁度いい目くらましになる。
「ズレン・ダンヤ。貴方にお願いがある。エスファンテのダンテス中尉を一度引き上げてもらえないかな」
「あれは、失敗したんだ。もう呼び戻している。土地の分配は街の議会に任せることになる。早いうちに個人のものにしろ、とルグラン議長にも知らせた。共同所有を禁じる法令を政府は作ろうとしているからな。ダンテスのことが何か、関係するのか」
「いいえ、ただ。エスファンテの市民が自由になることは、オリビエ様にとってもいいことですから」
「…俺は、赤い服を着て逃げ回るのは嫌だぞ」
くす、とリエンコは笑った。
「それは別にいますから。あなたはどうされます」
「水を差すようで悪いが俺にも考えはある。政府の人間なりのやり方ってのがな。オリビエに祖国は捨てさせたくない。あんたの計画が無駄になることを祈ってる。それが失敗したら好きにしてくれ」
「それはそれは。成功を祈ります。ああ、もしオリビエ様とのお別れをしたいのでしたら、裁判の日ロワイヤル橋の左岸で」
「今は、ナシオナル橋と呼ぶそうだ。革命政府が決めた」
「では、ナシオナル橋で」

次回最終話!!『空に羽ばたく』は6月1日公開予定です♪
関連記事
スポンサーサイト

銀杏並木さん♪

いらっしゃいませ♪

侯爵様ごめんなさい、と思いながら書いていました。
それぞれ違う考えをもって生きている、そんなところがうまく描けたらいいなぁ~♪
長い物語、ほんと、ここまで読んでくださってありがとう!
ああ、ラストですね…さびしいのと緊張と。入り混じりつつ、推敲しているところです。
満足いただけると…いいな~!!

(┰_┰)

お久しぶりです♪

候爵様は最後まで候爵様らしく去っていかれたのですね……(┰_┰)
無口ながら深い考えをお持ちだった候爵様……最後にオリビエ君が自分のために来てくれた事を知ってきっと嬉しかっただろうな……と思うとううぅ(;へ;)

ズレンさんの「何がなんでも生きろよ」っていう気持ちも分かるし、オリビエ君の「候爵様の遺志を大切にしたい」って気持ちも分かるし……。

最終回、今からドキドキしています。
エリーさんが考えてるオリビエ君に「演奏させる」事が事態をどう動かすのか。
ズレンさんが、そしてリエンコさんが考えてる方法って何なのか。
うぅ~緊張します(>_<)

kazuさん♪

ありがとう!
お掃除、一仕事ですよね!気になりだすときりが無くて、つい「この辺でいいかな」と手を抜く私です。

リエンコ!!いいでしょ~?
そばにいてほしいなぁ♪でも平和すぎて彼にとってはつまらないお仕事かも…
あ、なんだか現代版「音の…」の妄想がわいてしまった~(@∇@)
オリビエちゃんは入学したての音大生。
リエンコはつきまとう変な外国人(笑)
ズレンは警察官…あぅ。(←自制の声)

さて、次回で終わりなのです!!
う~どきどき。
がんばります


リエンコさん!!

らんららさん、こんにちは
暑いですねー、汗かきながらさっきやっと掃除が終わりましたよ(笑

今回、もうなんていうかリエンコさんがステキすぎです><
オリビエくんになりたい!!私を誘拐して~なんて思った私は重症?(笑

「いずれ誘拐しますから、その時には素直に私のいうことを聞いてください」
カッコイイ・・・言われてみたい

ズレンくんの本当の心もわかって。エリーさんはオリビエくんを見直して。
でも、状況はあまりよくないですよね。
リエンコさんがオリビエくんを助けだせることを祈るばかりです。

オリビエくんを助けようとする人たちがいて、彼はなんて幸せなんだろうなって思います。

オリビエくんの演奏をエリーさん達が聞いたときのその場所に、いてみたいと思ってしまいます。

次回を楽しみにまってます!!
Secret

プロフィール

らんらら

Author:らんらら
のんびり小説を書いています
日記ブログはこちら♪

ランキング参加中です♪

クリック よろしく~♪

FC2Blog Ranking

最近の記事+コメント

FC2カウンター

リンク♪

小説ブログの皆様

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。