10
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
   

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

1000文字小説:嘘

掌編小説『嘘』


風が潮の香りと一緒に空き缶を転がしてきた。
転落の直前に俺の足元に引っかかったそれを、「やだ」と笑いながら由梨絵が拾い上げた。
「もう秋みたいな涼しさね」
「秋だよ。夏休みも終わりだし、俺も明日は大学に戻るしさ」
「いいな、東京。私も来年絶対行くから」
「受かったら、だろ」

由梨絵は手にした缶をバケツに入れた。中には、花火の残骸が海水に浸かっていた。
「志望校は全部東京、もしもの場合の予備校だって東京にするの」
「お前、親父さんが許さないだろ」
「東京に行きたい。淳也もいるし」

俺もいるし。そこで傍らの由梨絵を見てしまったら、目があうだろうと思う。だから俺は聞こえないふりをした。

「遅いな、啓志のやつ。ジュースのついでに漫画でも読んでるんじゃないか」
「ケイはいつもコンビニで立ち読みしてるよ。この間エロ本に真剣だったから、窓の外からノックしてやったの。そうしたら真っ赤な顔して慌てちゃって、棚の本をばらばら落として。子供なんだもん、ケイは。兄弟で一つしか違わないのに、淳也と全然違う」
「違わないさ」
女の好みも、不器用なところも。

「東京に行って、もっとちゃらい奴になるかと思ったのに。違うんだよね、淳也は。同じ茶髪でも他の人と違うの。安心しちゃった」
「地味でつまんない奴だって言われてる」
「言わせとけ。私はそれがいいんだもん」
俺は密かに唾を飲み込んだ。雲行きが怪しくなってくる。

啓志のやつ。好きならちゃんと告っておくとか、ものにしておくとか。しろよ。
由梨絵の浴衣の裾は嫌になるほど風にはためいて、白い足が時折のぞく。
慣れない下駄が由梨絵の足取りを危うくする。小さい手で、俺のシャツの裾をつかんでいた。

「ねえ、淳也」

自分の鼓動と戦っていた俺は、この沈黙がほんの一瞬だったのか、由梨絵の決意を固めるに十分な長さだったのか、分からなかった。

「ずっと好きだった。気付いているでしょ。東京に行っちゃって、すごく寂しかったよ」
由梨絵の瞳は夜空を映し、深く潤んでいる。俺は目をそらせなくなった。ふっくらとした唇が開く。
「ね、淳也。好きなの」
「俺は」
啓志の声が、聞こえてきた。由梨絵を呼ぶ声。
由梨絵はそれに背を向けたまま、俺に抱きついた。
髪が頬に触れ、柔らかい身体を俺に預ける。由梨絵の囁きは確信をもって、俺の気持ちを後押しする。

「嘘は言わないで」

由梨絵の向こうで、啓志がぎこちなく自転車から降りた。




あとがきと言い訳は続きからどうぞ♪




二回目の掌編小説。1000文字以内に挑戦です♪
お題は「嘘」
嘘、と聴いて私が考えたのは、人が嘘をつくときの感情。

つきたくてつく嘘と、つきたくなくてもついてしまう嘘。
どんな事情であれ、それはとても心を揺さぶるものだと思うのです。

今回は、つきたくない、でもつかなきゃいけない。
嘘をつくまでの心の動きを書いてみたかったのです♪

どうかな、伝わったかな?

私にとって嘘とは。

「自分は幸せ♪」

他者からみて、それが真実ではなくても。
どんな状況になっても。

こういう「嘘」をつき続けて生きていきたい。
もちろん、笑いながら。
自分が嘘だと思わない限り、真実です♪
私にとって「嘘」とは、そういうものなのです♪

あ、ううん、嘘じゃないです。ほんとに幸せだものね♪(^∇^)b
関連記事
スポンサーサイト

kazuさん♪

うふふ!!!
ありがとうございます!!

そう、切なさが書きたかった!!
だから、伝えられてほんと、うれしい~!!

啓志君にはかわいそうなことをしましたが(笑
これで、この後どんな展開になるんだろう、と。
そこまでは考えておりません~。

弟を傷つけても自分の気持ちを取ることができるのか、というと。
淳也君はそういうタイプじゃないので。
だからこそ、この場面が発生するのですが。

由梨絵ちゃん。知人の名を借りましたが、ほんとにこういうかわいい子です♪
名前を借りると、表情や姿の描写にその人の面影が入ってきてしまいます。完全に妄想してますね…やばい(^_^;)

kazuさんのきゅんなシーンに習ってみました♪期待してますよ~!!
どろっと濃いのでも、さわやかな感じでも♪
恋愛ものは普段書かないけれど、書いてみると楽しいなぁ~♪


楓さんっ!!(笑

大丈夫ですかー!?
病み上がりなのに、興奮しすぎ~!!!(笑)

そうそう、読み通り由梨絵ちゃんは確信をもって告白してます♪
怖い!?
あははは~(笑
女の子って、わりと確信がないと告白できないものじゃないですか?
いや、私がそういうタイプなのかな(笑

由梨絵ちゃんと兄弟との付き合いは長いわけです。
淳也が「親父さん」と由梨絵ちゃんの家庭のことをちらっと出すあたりとか。
幼馴染的な状況を(私の中では)設定してありました。
それで、由梨絵ちゃんは二人の気持ちを知っているという前提での行動になってしまうのですね…。
作品としては微妙な説明不足かも(汗
怖がらせてしまってごめんなさい~(笑
あ、説明できてても同じかな(爆
やるな、由梨絵。
はい。
やりますよ!!v-391

一行目。
気に入っていただけました?
海にいること、風が吹いていること、オレのそばに由梨絵ちゃんがいること。一行で説明してみました♪

それに比べて他の描写はちょっと、甘いのですが。深く考えずに書いている気もします…。
そういう気の抜けた部分も時には必要かな。むむ。

さて~。
課題を終えたから、後はお二人の作品を待つだけ♪
うふふふ~。
楽しみにしています!!

ふはぁ^^

凄い。
もう、なんていうかドキドキはらはらきゅん、で、ぎゅっ。
私の心は淳也くんと啓志くんに、もろ感情移入。
淳也くんに由梨絵ちゃんが抱きついた時、せめて見えたのが由梨絵ちゃんの顔だったならっ。
好きな娘が自分のおにーちゃんに抱きついている姿を見てしまった自分を、そのおにーちゃんに見られる。
そして、そのおにーちゃん。
これは、泣く。心で泣いちゃう><

でもでも。
二人の心を知っているからこその、由梨絵ちゃんの行動なんですね。
こうでもしなければ、弟君に遠慮してしまいそうなおにーちゃんから「本心」を聞けないから。
このままじゃ、誰も幸せを手にできないから。
踏み出すために、懸命に想いを伝えた由梨絵ちゃん。

甘酸っぱい~っ!
好きです、ホント。
らんららさん、素敵ーっ!

chachaさんと楓さんのコメントに、全面的に賛成なのです^^
本当に本当にステキなお話でした!
ありがとうございました^^

しかし……まずい、本気であらすじも出来上がっていないkazu。
今回は最後になりそうな予感が……
バイト中の妄想に賭けます!(笑

確信犯!!!

こ、これってつまりあれですよね。
由梨絵はオレの気持ちを分かってる。
弟の気持ちも分かってる。
オレが弟に対して抱いてる、由梨絵に対する思いのことも分かってる。
つまりはオレがどう言う行動に出ようとするか、ぜんぶぜーんぶ分かってる。
分かっててみすみす逃がしたりしないもん!!!をい
てか、自分がこうすればオレがあーするってことも分かってる!
そしてオレはオレで腹くくって、まあ何というか弟ゴメン!俺も好きじゃああああ止めれんのよ!ってなるって分かってる!!!

ぎゃぼー!
女こええええええええ!!!←大失言

って気持ち半分(笑

いやいや、本当に好きで好きで、どうしても受け止めて欲しくて一生懸命な可愛らしい子だな。好き。こういう子。というまさにchachaさんが書かれているコメントに前面賛成!な気持ち半分。

すっっっっっっごい複雑www

何がって最後の一行!!
啓志!
啓志泣きそうじゃん!
夕陽背負って顔隠したって無理だから!いいって、我慢すんなって!泣いていいから!兄ちゃん殴っていいから!それで三人とも歩き出せんるんだからああああああああああ!!

て、しまった。
思わず送信ボタン押してしまった。汗

とても良くまとまっていて凄いと思います。1000文字ですからワンシーンにんるのは当然だと思うし、その中で以下に起伏を付けるかが大切なんじゃないでしょうか。
彼女の必死さが熱いです。
オレの身もだえるような葛藤が切ないです。
弟の掻きむしられるような苦しみが痛いです。
描写は、言葉選びがすごく素敵だと思います。何より、一行目がとてもいい感じ。

そして、やっぱ、ちょっっっとだけ、「やるな由梨絵」と。
ひねくれ者ですね。僕(笑

chachaさん♪

ありがとう~!!
ワンシーンを切り取っただけなのだけど、そこでどれだけ起承転結を作れるかな、という感じでした。
行動はほとんどしないので、一人称の感情の起伏だけで話を盛り上げ、結末に向ける。

ほんと、chachaさんのひねりのある作品とはまた全然違いましたね♪
chachaさんがいそうでいない人を描こうとしたのに比べ、私は誰でも共感できるありがちな設定でした♪
その分、私は描写に文字を割けたのかなと思います♪
前回に比べてとても楽でした(をい)

描きたい内容によって、描写の仕方も文章も、変わってくるのですよね、きっと。

ああ、残りお二人のがほんと、楽しみです♪

スキです♪

らんららさん、私この作品とってもスキです!
人の心理描写がとても細やかに、それでいて偽りなく描かれていて。
すごいな~さすがらんららさんだな~なんて、妙に納得(?)しちゃったり^^
うん。らんららさんの描く作品だ、これは。作風がとっても大好きです♪

そして内容もまたこれ、リアリティあって。
人ってこういった嘘、つきますよね。特に恋愛が絡むと誰しも一度は経験あるのでは?と思います。
由梨絵の最後の一言で、全ての嘘に踏ん切りがついたのか。
目の前には切ない思いをするであろう、弟の姿。
甘酸っぱい、青春の嘘。
素敵でした♪
ありがとうございました!^^

一抜け、二抜け仲間ですね~♪うふふ。
同じテーマでも、こうも色の違う作品とは☆
他の方の作品が楽しみですねっ♪
Secret

プロフィール

らんらら

Author:らんらら
のんびり小説を書いています
日記ブログはこちら♪

ランキング参加中です♪

クリック よろしく~♪

FC2Blog Ranking

最近の記事+コメント

FC2カウンター

リンク♪

小説ブログの皆様

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。